ホームページ制作の外注相場|費用の内訳と見積もりを検算する方法【発注仕様書テンプレート付き】

ホームページ制作の外注相場を調べると、「3万円」から「1,000万円」まで並びます。桁が3つ違うため、自社の予算取りにそのまま使える数字がどれなのか分からない——これが「ホームページ制作 外注 相場」で検索する人が最初にぶつかる壁です。金額が割れているのは情報が古いからでも間違っているからでもなく、「ホームページ制作」という言葉が指す作業範囲と品質水準が、見積もりごとにまったく違うためです。

結論から言えば、5〜15ページ程度の企業サイトを外注する場合の中心帯は、フリーランスで10万〜30万円、中小の制作会社で50万〜150万円、大手制作会社・広告代理店で300万円以上です。テンプレートを使い、原稿と写真を自社で用意して数ページに絞れば10万円台に収まり、逆に要件定義・取材・撮影・独自機能まで含めれば同じ「企業サイト」でも300万円を超えます。

この記事では、複数の情報源の相場を突き合わせて幅の正体を明らかにしたうえで、手元の見積もりが妥当かを工程単価で検算する方法、初期費用だけを見て失敗しないための5年総額での比較、そして契約時に必ず決めておく項目までを、発注者の立場で整理します。金額を覚えるための記事ではなく、目の前の見積書に判断を下すための記事です。

  1. 目次
  2. ホームページ制作の外注相場【依頼先別・サイト種別の早見表】
    1. 依頼先別の相場(情報源による比較)
    2. 依頼先ごとの向き・不向き
    3. サイト種別ごとの相場(情報源による比較)
  3. 一次データで見る相場:クラウドソーシング運営会社の公表値
  4. 「ホームページ制作一式50万円」を工程単価で検算する
  5. 相場の幅を生む7つの変数
  6. 見積書で必ず確認する12項目【比較チェックシート】
  7. 初期費用ではなく5年総額で比較する
  8. 相見積もりを比較可能にする発注仕様書テンプレート
  9. 契約で必ず決める6項目(フリーランス法・名義・ソースコード)
    1. ドメインとサーバーの名義は最重要
    2. 個人・フリーランスに発注する場合はフリーランス法の対象
  10. 制作費は経費か資産か——会計処理の考え方
  11. 発注前チェックリスト
  12. FAQ:よくある質問と回答
    1. Q. 5ページ程度の会社案内サイトなら、いくら見ておけばいいですか?
    2. Q. 相見積もりは何社取るべきですか?
    3. Q. 制作会社とフリーランス、どちらに依頼すべきですか?
    4. Q. 「初期費用0円・月額◯円」のプランは安いのでしょうか?
    5. Q. 保守費用は必ず払わないといけませんか?
    6. Q. 制作会社に「ソースコードは渡せない」と言われました。普通ですか?
    7. Q. 見積もりが想定の3倍でした。何を削れば安くなりますか?
  13. まとめ
    1. 参考資料

目次

  1. ホームページ制作の外注相場【依頼先別・サイト種別の早見表】
  2. 一次データで見る相場:クラウドソーシング運営会社の公表値
  3. 「ホームページ制作一式50万円」を工程単価で検算する
  4. 相場の幅を生む7つの変数
  5. 見積書で必ず確認する12項目【比較チェックシート】
  6. 初期費用ではなく5年総額で比較する
  7. 相見積もりを比較可能にする発注仕様書テンプレート
  8. 契約で必ず決める6項目(フリーランス法・名義・ソースコード)
  9. 制作費は経費か資産か——会計処理の考え方
  10. 発注前チェックリスト
  11. FAQ:よくある質問と回答
  12. まとめ

ホームページ制作の外注相場【依頼先別・サイト種別の早見表】

相場記事はどれも金額レンジを提示していますが、媒体ごとに数字が違います。まずはその違いをそのまま並べます。相場を1つの数字に丸めず、情報源ごとの幅を見ておくほうが、実際の見積もりを評価するときに役立ちます。

依頼先別の相場(情報源による比較)

依頼先ランサーズWeb幹事ferret One
フリーランス10万〜20万円10万〜20万円約10万〜20万円
制作会社(中小規模)10万〜300万円数十万円〜300万円程度約10万〜300万円
制作会社(大規模・大手)約300万円以上300万〜1,000万円約100万円〜
広告代理店200万〜400万円制作費の20%〜50%を上乗せ
出典:ランサーズ 発注者向けノウハウ(更新日2024年6月12日)/Web幹事ferret One(2026年8月時点の掲載内容)

フリーランスだけは3媒体とも「10万〜20万円」でほぼ一致しています。一方で制作会社は下限10万円・上限300万円と、同じ区分の中で30倍の開きがあります。依頼先の種類だけでは金額は決まらないということが、この表から読み取れる最初の事実です。

広告代理店の扱いにも注意してください。Web幹事は「広告代理店がホームページを制作するわけではなく、つながりのある制作会社へ依頼する仲介役」であり、仲介手数料として制作費の20〜50%程度が上乗せされると説明しています。同じ成果物でも、経由する会社が1社増えるだけで総額が変わります。

依頼先ごとの向き・不向き

金額の幅だけでは選べないため、費用以外の条件も並べておきます。

依頼先品質の安定性納期の柔軟性公開後のサポート向いているケース
制作会社組織的な品質管理が働きやすい標準〜やや長い保守契約を前提とする会社が多いページ数が多い、長期運用する、社内にディレクション人材がいない
フリーランス個人差が大きく、実績確認が必須柔軟(短納期の相談も可)担当者に依存するページ数が少ない、要件が固まっている、社内でディレクションできる
クラウドソーシングばらつきが大きい受注者次第基本的にプラットフォームの範囲内LPや単ページ、まず小さく試したい
ノーコードツール+部分外注テンプレートの範囲に依存最短ツール提供元のサポートに準ずる更新を自社で行いたい、スピード重視
広告代理店実際の制作は提携先が担当間に1社入る分だけ長くなりやすい広告運用とセットで受けられる広告出稿とサイト制作を一括で任せたい

フリーランスとクラウドソーシングを選ぶ場合、価格の安さより途中で連絡が取れなくなるリスクへの備えが重要になります。着手金の割合を抑える、マイルストーンごとに中間納品を受け取る、といった設計で回避できます。

サイト種別ごとの相場(情報源による比較)

サイト種別Web幹事(小規模〜大規模)発注ラウンジ
企業サイト・コーポレートサイト50万円〜/300万円〜10万円〜100万円以上
ランディングページ(LP)30万円〜/60万円〜無料〜60万円以上
採用サイト50万円〜/150万円〜
ECサイト100万円〜/500万円〜無料〜300万円以上
オウンドメディア100万円〜/300万円〜5万円〜300万円以上
ポータルサイト50万〜150万円/500万円〜
出典:Web幹事発注ラウンジ(更新日2026年6月5日)

ここでも同じサイト種別で下限に大きな差があります。発注ラウンジがLPとECサイトの下限を「無料」としているのは、無料のノーコードツールやモール出店を含めているためで、外注費として比較できる数字ではありません。相場表の下限値は「その方法なら実現できる最安値」であって、外注の見積もり下限ではない点は押さえておいてください。

予算感をつかんだ次のステップは、その金額に何が含まれているかを見ることです。他業務の外注相場とあわせて予算を組む場合は、外注費用の相場まとめ|業種別・作業種別に徹底解説から各業務の水準を確認できます。そもそも外注すべきか社内で作るかを迷っている段階なら、ホームページ制作を外注するべきか?費用・品質・タイムラインを比較を先に読むと判断しやすくなります。

一次データで見る相場:クラウドソーシング運営会社の公表値

前章の数字はすべて各媒体による推定値です。より確度の高い判断材料になるのが、実際に発注が成立しているプラットフォームの運営会社が公表している発注相場です。クラウドワークスは「クラウドワークス発注相場」として、依頼業務ごとの報酬相場と納期目安、さらに実際に掲載された発注事例の報酬レンジを公開しています。

依頼業務例示された発注内容報酬相場納期目安
ホームページ制作デザイン・コーディング(TOP・下層の2ページ)200,000円〜30日前後
LP(ランディングページ)制作・デザインデザイン・コーディング(長さ3000px程度)100,000円〜/ページ20日前後
WebデザインTOPページデザインのみ50,000円〜/ページ15日前後
HTML・CSSコーディングサイトコーディング(レスポンシブ無し)30,000円〜/ページ7日前後
ECサイト制作・改修ECサイトの一部機能の改修50,000円〜14日前後
Webサイト修正・更新・機能追加ホームページ内の文章変更・画像差し替え(2〜3時間程度)30,000円〜5日程度
出典:クラウドワークス発注相場(2026年8月時点の掲載内容)

同ページには実際の発注事例の報酬レンジも併記されています。ホームページ制作に関するものを抜き出すと次のとおりです。

  • 営業代行会社のHP制作者募集:固定報酬制 300,000〜500,000円
  • ドイツ製の商品(包丁研ぎ機)の日本版HP制作:固定報酬制 100,000〜300,000円
  • ホームページ制作:固定報酬制 300,000〜500,000円
  • 会社のトップページとブログのデザイン:固定報酬制 100,000〜300,000円
  • Shopifyで生活雑貨を販売するECサイトの制作:固定報酬制 300,000〜500,000円
  • MakeShopへの移行、開店代行・デザイン:固定報酬制 100,000〜300,000円
  • 会社HPの更新作業:固定報酬制 10,000〜50,000円

ここから読み取れる実務上のポイントが3つあります。

1つ目は、「TOP+下層の2ページのデザイン・コーディングで20万円〜/納期30日前後」が個人への発注の起点になること。2ページで20万円なので、ページ数が増えれば当然上乗せされます。「10ページで10万円」といった提案が来たら、テンプレート流用か、下層ページを量産扱いにしているかのどちらかだと考えて内訳を確認してください。

2つ目は、工程を切り出すと単価が明確に下がること。「TOPページのデザインのみ」で5万円〜、「コーディングのみ(レスポンシブ無し)」で3万円〜です。デザインが社内にある、あるいは既存サイトのリニューアルでデザインを流用できるなら、コーディングだけを切り出して発注する選択肢が生まれます。

3つ目は、公開後の更新作業にも下限があること。「文章変更・画像差し替えで2〜3時間程度」が3万円〜という水準は、月額保守を検討するときの比較基準になります。年に数回しか更新しないのに月額保守を契約するより、都度発注のほうが安いケースは珍しくありません。

「ホームページ制作一式50万円」を工程単価で検算する

見積書に「ホームページ制作一式 500,000円」とだけ書かれていたとき、それが高いのか安いのかは金額を眺めても分かりません。判断するには工程ごとの単価に分解して積み上げ直すしかありません。

Web幹事は、工程別の費用相場を次のように整理しています。これを検算の物差しとして使います。

工程費用の目安算出の考え方
ディレクション費見積総額の10%〜30%見積金額に一定割合を掛ける、または作業日数で算出
Webデザイン費(TOPページ)10万〜20万円サイトの印象を左右するため単価が高い
Webデザイン費(下層ページ)1万〜5万円/ページ機能・デザインが複雑になるほど上昇
レスポンシブ対応1ページあたり2万〜7万円の追加PC・スマホ両対応のデザイン工数
コーディング費1ページあたり1.5万〜6万円ゼロからのオリジナル制作・複雑な機能で発生
コンテンツ費(テキスト)1文字0.5円程度〜数円作る素材の量に比例
コンテンツ費(画像)数千円〜50万円撮影・作り込みの度合いによる
ロゴデザイン数万円〜30万円こだわるほど期間・費用が増える
サーバー費年間1万円〜数万円程度長期の運用コストとして年額で試算
Webコンサルティング費数万円〜100万円依頼範囲とサイト規模で大きく変動
出典:Web幹事「ホームページ作成費用・制作費用の料金相場」(2026年8月時点の掲載内容)

この単価を使って、「企業サイト8ページ・オリジナルデザイン・原稿は自社支給」という条件を積み上げてみます。

【検算例】企業サイト8ページ/オリジナルデザイン/原稿・写真は自社支給

TOPページ デザイン            150,000円
下層ページ デザイン 7ページ    30,000円 × 7 = 210,000円
コーディング 8ページ           25,000円 × 8 = 200,000円
レスポンシブ対応 8ページ        30,000円 × 8 = 240,000円  ←デザイン費に含む場合あり
CMS(WordPress)組み込み       100,000円前後
─────────────────────────
小計                          約660,000〜900,000円
ディレクション費(小計の20%)  約132,000〜180,000円
─────────────────────────
合計                          約80万〜110万円

つまり、同じ「8ページの企業サイト」でも工程単価から積み上げると80万〜110万円になるのが、オリジナルデザインで作った場合の相場観です。ここで「一式50万円」という見積もりが出てきたなら、それ自体が悪いのではなく、どこかの工程が省略されている、または単価が下限に張り付いているということになります。省略されている可能性が高いのは次の箇所です。

  • デザインがテンプレート:TOPのデザイン費10万〜20万円が丸ごと不要になる。既製テーマの色とロゴを差し替える形式
  • 下層ページが同一レイアウトの量産:1ページ目だけ設計し、2ページ目以降は流し込み
  • ディレクションが実質ゼロ:要件定義や構成案の作成がなく、発注側が指示を出さないと進まない
  • レスポンシブが簡易対応:スマホで崩れないだけで、スマホ専用の設計はしていない

これらは必ずしも問題ではありません。名刺代わりの数ページのサイトなら、テンプレート+量産で十分なケースは多くあります。問題なのは、省略されていることを知らないまま「安い会社が見つかった」と判断することです。検算の目的は値切ることではなく、金額差が範囲差なのか品質差なのかを見分けることにあります。

なお、相場から極端に外れて安い提案には別のリスクもあります。構造については安すぎる外注はなぜ危険なのか?コストの裏に潜むリスクと対策で詳しく扱っています。

相場の幅を生む7つの変数

金額を決めているのは「ページ数」だけではありません。見積もりを比較するときに効いてくる変数は7つあります。このうちどれが自社側の負担で、どれが外注側の作業なのかを決めた瞬間に、狙うべき価格帯が決まります。

変数安く収まる条件高くなる条件金額への影響
①デザインの作り方既存テンプレート・テーマを利用ワイヤーフレームから作るオリジナル特大(TOPだけで10万〜20万円差)
②ページ数と構成同一レイアウトの下層を量産ページごとに個別設計大(1ページ1万〜5万円)
③原稿・文章自社で用意して支給ライティングを依頼/取材を伴う大(1文字0.5円〜数円。取材はさらに別途)
④写真・素材自社素材・フリー素材を使用撮影ディレクションを依頼大(画像は数千円〜50万円)
⑤機能要件問い合わせフォームのみ会員機能・予約・決済・多言語特大(システム開発の領域に入る)
⑥CMSの導入方法WordPressの既存テーマオリジナルテーマ開発・独自CMS中〜大
⑦公開後の対応範囲納品して終わり保守・更新代行・改善提案まで中(月額で継続発生)

実務上、見積もりが想定を大きく超える原因になりやすいのは③原稿と④写真です。制作会社の初期見積もりは「原稿・写真は貴社支給」を前提にしていることが多く、この前提が崩れた時点で追加見積もりになります。発注側が「原稿も当然作ってくれるだろう」と思い込んでいると、キックオフの直後に予算が壊れます。

逆に言えば、原稿と写真を自社で準備できるかどうかが、最も効くコストコントロールのレバーです。原稿を外注する場合の単価感は記事制作を外注する費用相場と品質管理の方法、動画素材を含める場合は動画編集の外注相場|1本あたりの費用と単価の決まり方を参照してください。

また⑤の機能要件は、一定のラインを越えるとホームページ制作ではなくシステム開発の見積もりになります。会員登録・予約管理・独自の検索機能などが出てきた時点で、比較すべき相場そのものが切り替わると考えてください。LP単体を依頼する場合はLP外注の相場と見積もりのポイントが参考になります。

見積書で必ず確認する12項目【比較チェックシート】

相見積もりを取っても、各社の見積書のフォーマットが違えば比較できません。次の12項目を一覧にして各社の欄を埋めると、金額差が「範囲差」なのか「単価差」なのかが一目で分かります。

#確認項目確認のしかた
1ページ数と内訳TOP/下層それぞれ何ページか。追加1ページの単価も聞く
2デザインの作り方オリジナルかテンプレートか。テンプレートなら製品名
3デザイン案の提示数初回に何案出るか。案の追加は有償か
4レスポンシブ対応金額に含まれるか、ページ単位の追加か
5原稿・文章の担当自社支給か制作側か。取材・インタビューの有無
6写真・イラスト・ロゴ撮影の有無、フリー素材の利用可否、ロゴ制作の要否
7CMSの有無と種類更新できる範囲(どのページ・どの部分を自社で編集できるか)
8ドメイン・サーバー取得代行の有無、契約名義、初期費用と年額
9SEO初期設定タイトル・メタ情報・構造化データ・サイトマップ送信の範囲
10修正回数と検収無償修正の回数、超過時の単価、検収期間と合格基準
11納品物の範囲ソースコード・デザインデータ(元ファイル)を受け取れるか
12公開後の保守月額の金額、対応範囲、最低契約期間、解約条件

とくに見落とされやすいのが7(CMSで更新できる範囲)11(納品物の範囲)です。「WordPressで作ります」と言われても、ブログ記事だけが更新可能で、会社概要やサービス紹介は固定のHTMLというケースがあります。この状態だと、公開後の小さな文言修正のたびに費用が発生します。前章のクラウドワークスの公表値でも「文章変更・画像差し替え(2〜3時間程度)」で3万円〜という水準です。年に10回修正するなら年30万円の話になります。

見積書に「一式」としか書かれていない場合は、必ず内訳の提示を依頼してください。断られる、あるいは分解できないという回答が返ってくるなら、その時点で発注先の選定材料になります。依頼先そのものの比較軸は外注先の選び方|比較すべき7つの判断基準にまとめています。

初期費用ではなく5年総額で比較する

ホームページは作って終わりではなく、サーバー・ドメイン・保守・更新の費用が公開後もかかり続けます。初期費用だけで比較すると、総額では高いほうを選んでしまうことがあります。

ランサーズは月額のランニングコストを、対応範囲別に次のように整理しています。

対応範囲月額の目安
維持費のみ(サーバー・ドメイン)500〜3,000円
維持費+最低限の管理2,000〜5,000円
維持費+基本的な管理1万〜5万円
維持費+管理+運用(更新・改善)5万〜数十万円
出典:ランサーズ 発注者向けノウハウ(更新日2024年6月12日)

この幅を使って、初期費用が違う2つのプランを5年で比較します。

【5年総額の比較】

プランA:初期 600,000円 + 保守 月 5,000円
  600,000 + 5,000 × 60ヶ月 = 900,000円

プランB:初期 0円 + 月額 30,000円(制作費込みの月額プラン)
  0 + 30,000 × 60ヶ月 = 1,800,000円

差額:900,000円(プランAのほうが5年で90万円安い)

損益分岐月数 = プランAの初期費用 ÷(Bの月額 - Aの月額)
             = 600,000 ÷(30,000 - 5,000)= 24ヶ月
  → 2年以上使うならプランAが有利。1年で作り直す前提ならBが有利

「初期費用0円」「月額◯円で作れます」という提案は、キャッシュフローの面では魅力的です。ただしその契約が何年縛りで、途中解約できるのか、解約したらサイトはどうなるのかを必ず確認してください。制作費を分割で支払う形式のなかには、リース契約として組まれているものがあります。

経済産業省は商取引政策の「リース」のページで、小口リース対応の一環として『ホームページソフトなどのリース契約はしっかり考えてから』という資料を掲載しています。国が注意喚起の対象としている領域だという事実は、契約書を読む前に知っておく価値があります。

月額型の提案を受けたときに確認すべきなのは次の4点です。

  • 契約の相手方:制作会社との契約か、リース会社・信販会社が入る契約か
  • 契約期間と総支払額:月額×契約月数で総額を必ず計算する
  • 中途解約の可否と違約金:解約できない条項になっていないか
  • 解約後のサイトの扱い:ドメイン・データ・デザインが手元に残るか

契約内容が自社にとって法的にどう扱われるかの判断は、契約書を持参のうえ、弁護士や中小企業向けの公的な相談窓口に確認することをおすすめします。この記事の内容は一般的な整理であり、個別の契約の有効性を判断するものではありません。

相見積もりを比較可能にする発注仕様書テンプレート

3社に相見積もりを取って30万円・80万円・200万円が返ってきたとき、原因の多くは依頼内容が曖昧だったことにあります。各社が別々の前提を置いて計算するため、比較できない数字が並ぶわけです。

次の項目を埋めて渡すだけで、返ってくる見積もりは比較可能になります。そのままコピーして使えるテキスト形式にしています。

【ホームページ制作 発注仕様書】

■ 基本情報
サイトの種類:(例:コーポレートサイト/採用サイト/ECサイト/LP)
目的:(例:問い合わせ数を月◯件に増やす/会社の信頼性を担保する)
ターゲット:(例:中小企業の総務担当者)
公開希望日:
既存サイトの有無:あり(URL:  )/なし
新規制作かリニューアルか:新規/リニューアル

■ サイト構成
想定ページ数:TOP 1ページ + 下層  ページ
必要なページ:(例:会社概要/サービス/実績/採用/お問い合わせ/プライバシーポリシー)
多言語対応:不要/要(言語:  )

■ 支給するもの(自社で用意するものに○)
( )文章・原稿 ※未定の場合はライティング依頼の要否を記載
( )写真・画像 ※撮影の要否を記載
( )ロゴデータ ※ai/svg/png のいずれか
( )ブランドガイドライン(配色・フォント指定)
( )掲載する実績・お客様の声

■ デザイン
参考サイトURL:(好みのトーンのサイトを2〜3件)
NG例のURL:(避けたいトーン)
デザインの作り方:オリジナル/テンプレート(どちらでも可)
初回提示案数:  案

■ 機能要件(必要なものに○)
( )お問い合わせフォーム ※項目数:  /自動返信の要否
( )ブログ・お知らせ(更新は自社で行う:はい/いいえ)
( )採用エントリーフォーム
( )予約機能/会員機能/決済機能 ※内容:
( )多言語切り替え
( )アクセス解析の設置(GA4・Search Console)

■ 自社で更新したい範囲
(例:お知らせと実績は自社で更新したい。会社概要は年1回程度)

■ ドメイン・サーバー
ドメイン:保有済み(    )/新規取得を依頼
サーバー:契約済み(    )/選定から依頼
契約名義:自社名義とする(必須)/制作会社名義でも可

■ 公開後
保守の希望:不要/最低限(障害対応・バックアップ)/更新代行も含む
想定する更新頻度:(例:月2回のお知らせ更新)

■ 進行と検収
修正回数:  回まで(超過時の単価:  円/回)
社内の承認者:
検収期間:納品から  日以内

■ 契約・納品
契約形態:業務委託(請負/準委任)
支払条件:(例:着手金50%/検収後50%)
支払期日:納品物の受領日から  日以内(60日以内で設定)
納品物:ソースコード一式/デザイン元データ/CMS管理者権限
著作権の扱い:譲渡する/利用許諾(利用範囲を明記)

この仕様書で最も効果が大きいのは「支給するもの」と「参考サイトURL」の2つです。支給範囲が明記されていれば追加見積もりの温床がなくなり、参考サイトは言葉で書いたどんな指示よりも認識のズレを潰します。

納品後に揉める構造そのものについては外注で品質トラブルが起きる5つの根本原因と、再発を防ぐ管理の仕組みを参照してください。

契約で必ず決める6項目(フリーランス法・名義・ソースコード)

金額が決まったあとに問題になるのは、たいてい契約書に書かれていなかった項目です。ホームページ制作の外注で必ず文面に残しておきたいのが次の6項目です。

項目決めておく内容放置した場合に起きること
業務の内容ページ数・支給物・機能要件・保守の範囲「これも入っていると思った」で追加請求か、値引き交渉に発展
報酬の額と支払条件税込/税抜の別、着手金の割合、追加作業の単価請求段階での認識差。とくに消費税分でもめる
支払期日納品物の受領日から60日以内(できる限り短く)個人への発注では法定義務に抵触するおそれ
ドメイン・サーバーの名義自社名義で契約し、管理画面のIDを受け取る制作会社と連絡が取れなくなるとサイトごと失う
納品物と権利の帰属ソースコード・デザイン元データの受け渡し、著作権の譲渡か利用許諾か他社へ引き継げず、リニューアル時に作り直しになる
修正回数と検収無償回数の上限、超過単価、検収期間、合格基準無限修正か、逆に修正拒否か。どちらも起きる

ドメインとサーバーの名義は最重要

ホームページ制作の外注で最も回復が難しいトラブルが、ドメインとサーバーが制作会社名義で契約されているケースです。管理画面のIDもパスワードも渡されていないと、制作会社が廃業したり連絡が取れなくなったりした時点で、自社サイトを一切触れなくなります。ドメインを移管しようにも、登録者情報が相手方であれば手続きが進みません。

取得代行を依頼すること自体は問題ありません。「契約名義は自社、管理画面のログイン情報は納品時に受け取る」と仕様書と契約書の両方に書いておけば足ります。すでに制作済みのサイトがある場合も、いま一度ドメインの登録者名義とサーバー契約者を確認しておくことをおすすめします。

個人・フリーランスに発注する場合はフリーランス法の対象

個人のWebデザイナーやエンジニアに発注する場合、2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の対象になります。公正取引委員会が公表しているQ&Aによれば、発注事業者に求められる主な内容は次のとおりです。

  • 書面等による取引条件の明示:業務を委託した場合、書面等により直ちに取引条件を明示する義務があります。明示事項には「業務の内容」「報酬の額」「支払期日」「発注事業者・フリーランスの名称」「業務委託をした日」「給付を受領する日」「給付を受領する場所」「(検査を行う場合)検査完了日」「(現金以外で支払う場合)報酬の支払方法に関する必要事項」が含まれます。
  • 報酬の支払期日:発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定め、その期日までに支払う必要があります。月単位の締切制度を採用している場合でも、受領日から60日以内に支払う必要があるとされています。

ホームページ制作は着手から公開まで数ヶ月かかることが多く、支払サイトの設計を後回しにしがちです。発注時点で支払期日を決めて明示するところまでを、見積もり承認と同じタイミングで済ませてください。

請負と準委任の違いや契約形態の選び方は業務委託と外注の違いをわかりやすく解説を参照してください。個別の案件が法令上どう扱われるかの判断は、弁護士など専門家や公的な相談窓口に確認することをおすすめします。

制作費は経費か資産か——会計処理の考え方

ホームページ制作費を支払ったあと、経理担当から「これは一度に経費にしていいのか」と聞かれることがあります。判断のポイントは、その支出が「掲載内容の宣伝」なのか「プログラムの取得」なのかという点です。

国税庁のタックスアンサー「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」では、ソフトウエアの耐用年数について次のように定められています。

区分耐用年数
複写して販売するための原本、または研究開発用のもの3年
その他のもの(自社利用のソフトウエアなど)5年
出典:No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数|国税庁

同ページでは、取得価額に算入しないことができる費用として、製作計画の変更等による仕損じ分、自社利用ソフトウエアで将来の収益獲得または費用削減にならないことが明らかな研究開発費、製作原価のおおむね3%以内の間接費・付随費用が挙げられています。

実務上は、会社案内のような内容を掲載するだけのページと、予約システムや会員機能のようなプログラムを伴う部分とで扱いが分かれる、という整理をされることが一般的です。ただしどちらに当たるかは契約内容と実態で判断されるため、この記事の整理をもって処理を確定しないでください。見積書の内訳をページ制作分とシステム開発分に分けて出してもらったうえで、所轄の税務署または顧問税理士に確認するのが確実です。

その意味でも、見積書を「一式」ではなく工程別に分解してもらうことには、税務上の実利があります。勘定科目や仕訳の基本的な考え方は外注費とは?勘定科目・仕訳をわかりやすく解説にまとめています。

なお、補助金の活用を検討している場合、中小企業向けのIT関連の補助制度は年度ごとに名称・対象経費・要件が変わります。ホームページ制作費が対象になるかどうかは制度と年度によって異なるため、必ずその年の公募要領で確認してください(2026年度はデジタル化・AI導入補助金として実施されています)。

発注前チェックリスト

ここまでの内容を、発注直前に確認する形式にまとめました。

  • □ サイトの目的と、達成したい数値目標を1文で書けるようにした
  • □ 必要なページを洗い出し、TOPと下層のページ数を確定した
  • □ 原稿・写真・ロゴを自社で支給するか、依頼するかを決めた
  • □ デザインをオリジナルにするかテンプレートにするかを決めた
  • □ 参考サイトURLを2〜3件、NG例を1件用意した
  • □ 公開後に自社で更新したいページ・箇所を具体的に指定した
  • □ 見積書を「一式」ではなく工程別の内訳で受け取った
  • □ 工程単価から積み上げ直して、金額の妥当性を検算した
  • □ 追加1ページ・追加修正1回あたりの単価を確認した
  • □ 保守の月額・対応範囲・最低契約期間・解約条件を確認した
  • □ 初期費用ではなく5年総額で複数プランを比較した
  • □ ドメイン・サーバーを自社名義で契約する取り決めをした
  • □ 管理画面のログイン情報を納品物に含めることを明記した
  • □ ソースコード・デザイン元データの受け渡しと著作権の扱いを決めた
  • □ 検収期間と合格基準を決めた
  • □ 支払期日を受領日から60日以内で設定し、取引条件を書面等で明示した

公開後の運用まで含めた体制づくりは外注管理とは|進捗・品質・納期・外注先選定まで全体像を完全解説、集客まで見据えて依頼先を検討する場合はSEO外注の費用相場と依頼先の選び方もあわせて確認してください。

FAQ:よくある質問と回答

Q. 5ページ程度の会社案内サイトなら、いくら見ておけばいいですか?

原稿と写真を自社で用意し、テンプレートベースで作るなら10万〜30万円が目安です。オリジナルデザインで作る場合は、工程単価から積み上げると50万〜80万円程度になります。クラウドワークスの公表値では、TOP+下層2ページのデザイン・コーディングで20万円〜(納期30日前後)とされており、ここにページ数分を加算していくと現実的なレンジが見えてきます。

Q. 相見積もりは何社取るべきですか?

3社程度が扱いやすい数です。ただし社数より重要なのは、全社に同じ発注仕様書を渡すことです。仕様が揃っていない見積もりを何社集めても、比較にはなりません。本記事の発注仕様書テンプレートを埋めて渡し、返ってきた見積もりを12項目のチェックシートで並べる、という順序で進めてください。

Q. 制作会社とフリーランス、どちらに依頼すべきですか?

複数ページの設計・進行管理・公開後の保守までまとめて任せたいなら制作会社が向きます。チーム体制のため担当者が変わっても継続しやすい一方、費用は高くなりやすいのが特徴です。ページ数が少なく、要件が固まっていて、社内でディレクションできるならフリーランスのほうがコストを抑えられます。相場でも3媒体そろってフリーランスは10万〜20万円と、制作会社より一段低い水準です。判断軸は外注先の選び方|比較すべき7つの判断基準を参照してください。

Q. 「初期費用0円・月額◯円」のプランは安いのでしょうか?

契約期間全体の総支払額で比べないと判断できません。月額3万円のプランを5年続ければ180万円で、初期60万円+保守月5,000円のプラン(5年で90万円)の2倍になります。損益分岐は「初期費用 ÷ 月額の差」で計算できます。あわせて、その月額が制作会社との継続契約なのか、リース会社を含む契約なのか、中途解約できるのかを必ず確認してください。経済産業省も「小口リース対応」として『ホームページソフトなどのリース契約はしっかり考えてから』という資料を掲載しています。

Q. 保守費用は必ず払わないといけませんか?

法的な義務はありません。ただしWordPressなどのCMSを使う場合、本体・テーマ・プラグインの更新を放置するとセキュリティ上のリスクが高まります。更新頻度が年に数回であれば、月額保守を契約せず都度発注にするほうが安く済むこともあります。判断材料として、クラウドワークスの公表値では文章変更・画像差し替え(2〜3時間程度)が3万円〜です。年間の想定更新回数×都度単価と、月額×12ヶ月を比べてください。

Q. 制作会社に「ソースコードは渡せない」と言われました。普通ですか?

自社開発のCMSやテーマを使っている場合、ソースコードを提供しない方針の会社はあります。それ自体は不当ではありませんが、将来リニューアルするときに他社へ引き継げないことを意味します。契約前に、納品物の範囲(ソースコード、デザイン元データ、CMS管理者権限)と、解約時にデータをエクスポートできるかを確認してください。この確認は、ドメイン・サーバーの名義確認とセットで行うのが実務的です。

Q. 見積もりが想定の3倍でした。何を削れば安くなりますか?

単価を値切るのではなく、作業範囲を削るのが正しい順序です。効果が大きい順に、①原稿・写真を自社で用意する、②デザインをテンプレートベースに切り替える、③下層ページを共通レイアウトに統一する、④公開時のページ数を絞って後から追加する、の4つです。範囲を削らずに金額だけ削ると、削られるのは品質と納期になります。

まとめ

  • 5〜15ページの企業サイトを外注する場合の中心帯は、フリーランス10万〜30万円、中小の制作会社50万〜150万円、大手・広告代理店300万円以上
  • 複数媒体の相場を突き合わせると、フリーランスは10万〜20万円で一致する一方、制作会社は下限10万円・上限300万円と30倍の開きがある。依頼先の種類だけでは金額は決まらない
  • クラウドワークスの公表値では、TOP+下層2ページのデザイン・コーディングが20万円〜/納期30日前後。TOPデザインのみなら5万円〜、コーディングのみなら3万円〜/ページ
  • 「一式」の見積もりは工程単価に分解して検算する。オリジナルデザインの8ページサイトは、積み上げると80万〜110万円になる
  • 金額差の正体は品質差ではなく範囲差。とくに原稿と写真を誰が用意するかが最も効くコストコントロールのレバー
  • 初期費用ではなく5年総額で比較する。「初期0円・月額制」は総額とリース契約の有無を必ず確認する
  • ドメイン・サーバーは自社名義で契約し、管理画面のログイン情報とソースコードの受け渡しを契約書に明記する
  • 個人へ発注する場合はフリーランス法の対象。取引条件を書面等で直ちに明示し、支払期日は受領日から60日以内に設定する
  • 制作費を経費とするか資産計上するかは契約内容と実態で判断される。見積書を工程別に分けたうえで税務署・税理士に確認する

参考資料

ガイチュウ博士

私は「ガイチュウ博士」。
外注Baseで、依頼の判断をサポートするために設計された架空のナビゲーターです。

これまでに蓄積された多数の外注事例をもとに、「この依頼は進めるべきか」「一度止まるべきか」を整理する役割を担っています。
感覚ではなく、条件や状況、リスクを分解して判断するのが特徴です。

得意なのは、曖昧な状態の整理です。
「なんとなく不安」「進めていいかわからない」といった状態を、そのままにしません。
チェック項目として分解し、一つずつ確認できる形に整えます。

私は結論を急ぎません。
必要な情報が揃っていない場合は、そのまま進めることのリスクも含めてお伝えします。
判断は、材料が揃ってからで十分です。

外注は便利ですが、同時に判断の連続でもあります。
その判断を落ち着いて行うための補助として、ここにいます。

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